マスター・フーの手紙と別解釈-それぞれが失うものから見えてくる未来とは…

 



S4ウィッシュメーカーまでの【ネタバレ】を含みますので、未視聴の方はご注意願います。

勝手に先を予測する表現がありますので、苦手な方は記事をパスしてください。

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マスター・フーの手紙は、とても面白い不思議な作りになっているなぁ…と感じるので取り上げたいと思います。

マスターが近々ガーディアンを譲るつもりで書いた手紙…登場はS3ミラクルクイーン回で、マリネットに宛てた内容のはず…なのですが、所々違和感があります。

私の勝手な解釈ですが、マスターの手紙は少なくとも3通りの受けとり方ができます。1つは、ガーディアンになるミラクルクイーン回時点のマリネットに向けたもの…。2つ目は、ホークモスに掛けたもの…。3つ目は記憶を失う時期の未来のマリネットに掛けたもの…。

まずは、ミラクルクイーン回のマリネットへ…宛てた通常通りの解釈から考えていきたいと思います。


マスターの手紙 

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『失うという経験は人生に付きもの。でもいいこともあるから。思い通りにいかなくても受け入れること。

初めての時は全てが冒険。その冒険がどこまで続くのかはわからない。
きっとお互いの心を委ね、信頼し合える相手が見つかるはず。
その信頼が崩れることがあっても、いつか元通りにできる。
そう、進む道は真っ直ぐとは限らない。途中で迷子になるかも。でも信頼できる相手がいればきっと目的地に辿り着ける。

大人になるにつれ人生は望むものだけを与えてくれるわけではないと知る。マリネット、直接伝えたかったが君がこれを読むのはワシが記憶をなくした時だ。だか恐れることはない。悲しむことも。
始めに書いたように、失うという経験は人生に付きものだが、それだけではない。本当に大事なのは勝つか負けるかではなく、自分自信に起こる変化を受け入れることだ。例え人生が思い通りにいかなくてもそれを受け入れる。人生そのものが贈り物なのだから。』

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【解釈1.】ガーディアンになるマリネットへ

ミラキュラスについて何でも相談できる唯一の人を“失う”マリネットに、ミラキュラスという枠を超え人生について最後のアドバイスを送るマスター・フー。

こちらの解釈はそのままストレートに捉えればよいですが、これから起こることの暗示が含まれています。ガーディアンとしての道を冒険とも例えていますね。

心を委ね信頼できる相手とは、一番にシャノワール(アドリアン)そして、アルヤなどの親友でしょう。その信頼が崩れる…は未来の暗示ですから、S4以降その中の誰かと信頼関係が崩れるのではないかと推測できます。そのことを、辿る道はまっすぐではないため迷子になると表現。でも、いつか信頼関係を取り戻し、その相手と共に目的を果たせる…という内容。冒険の展開をしっかり示していますね。

手紙後半の、勝つか負けるか…という言葉がここで出てくることについては、とても不思議だったのですが、S4のソールクラッシャー回を見たら納得できました。ゾーイが初登場する回…勝ち組負け組について語られたお話で、マリネットがゾーイを諭す時に出てきます。「勝ち組とか負け組とかそんなのない…」マリネットがこの手紙の内容を心に刻んで大切にしてることが伺えます。何度も読んだのかも知れないですね。


【解釈2.】ホークモス

今度は、ホークモスに向けている文章として読んでみます。(マスターがホークモス宛に書いてる訳ではなく…文章がホークモスに掛かっているという意味です。)

過去記事の『エミリー』と重なる話なのでそこはサラッと簡潔に書きます。『エミリー』は、手紙の後半がホークモスに掛かっているという内容でした。今回は前半部分もそのように読めるかも知れない…と考えてみたので、書きたいと思います。

過去記事『エミリー』はこちら


まず、『エミリー』では、後半の文章の“失う”とはエミリーのことだと書きました。つまり、エミリーは死に向かう存在…。

実は、息子が4歳の時に秘書ナタリーのことをアドリアンのお母さんだと言ったのですが、それは凄く真理をついてるな…と思ったエピソードです。つまり、幼い子どもには、エミリーが母親に映らない…というか、そう理解できないんですね。物語を見て母親に見えるのはナタリーの方。

そう、アグレスト家は最初からそのメンバーで描かれており、そこにエミリーはいません。

回想等でも、アドリアンと母親の交流は描写されてきませんでした。

なぜなのか…その訳を少し考えていきたいと思います。謎だから当然だと思うかも知れませが、もうひとつ理由があるように感じます。それは観ている子どもたちへの配慮です。

母親を亡くすというのは、子どもにとって一番辛いことだからです。でも、始めから眠っていて動かない存在なら…どうでしょうか。子どもたちのショックを和らげる、作り手が意図した構成にも感じてきます。

エミリーが動く姿はフィルムの中だけに存在しているのです。(謎が証されるころ回想シーンも出てくるでしょうか…)


次に、手紙前半の方もホークモスに掛けている文章だと考えて読んでみます。

同じく冒頭の“失う”はエミリーのこととして読みます。『思い通りにいかなくても受け入れること。』エミリーを失い…人生が思い通りにいかないと感じるだろうが、それを受け入れること…

『初めての時は全てが冒険』は、ちょっと解釈するのが厳しいですが……『心を委ね信頼できる相手』は、ナタリー。彼女との信頼関係も今後どこかで崩れたりするのでしょうか…。迷子になった蝶…ガブリエルが、ナタリーの愛に気がつくと解釈します。そして『目的』とは、エミリーと共に成し遂げたかった“最初に目指していた目的”のこと…と解釈してみます。

『信頼できる相手がいればきっと目的地に辿り着ける』…愛とは信頼です。なので、愛する相手がいれば…目的地に辿り着ける…。

要約すると…ガブリエルが現実を受け入れ、愛を見つければ本来目指したかった場所に行ける(問題も終息する)となります。

読み辛い箇所もありますが、先々の展開でナタリーとの信頼関係が揺らいだり強まったりしたなら、前半部分もホークモスを表していると言って良いのではないかな…と思います。

今は、ナタリーも間違った愛のかたちを持ってしまっていますが、どう正すかが大切…。愛になかなか気がつかないのは、レディバグたちもガブリエルも同じです。必ず気がつく時が来るでしょう。

そして、エミリーですが…もし目覚めたなら、その時…アドリアンはお別れを言えるのではないかな…と思います。

アグレスト家の再生はガブリエル、ナタリー、アドリアンでされていくと思います…(今のところ9割くらい)

ただ一点…ウィッシュメーカー回で、エミリーもアドリアンに期待を寄せすぎていたことが伺えますので、アドリアンの接し方に問題点があったのはガブリエルだけではないと思われます。なのでエミリーも、正さなければならないのかも知れないですね。ただ、それはナタリーがしてあげれば問題ないようにも思います。アドリアンを学校に行かせてあげられるようにしたのは、ナタリーなのですから。


【解釈3.】記憶を失う時期のマリネットへ

最後に、この手紙をミラクルボックスを手放す頃の、記憶を失ってしまうマリネットに向けた言葉として読んでみます。

ガーディアンではなくなり…新しい道に進むマリネットです。“失う”のは記憶ですね。

『失うという経験は人生に付きもの。でもいいこともあるから。思い通りにいかなくても受け入れること。

初めての時は全てが冒険。その冒険がどこまで続くのかはわからない。
きっとお互いの心を委ね、信頼し合える相手が見つかるはず。
その信頼が崩れることがあっても、いつか元通りにできる。
そう、進む道は真っ直ぐとは限らない。途中で迷子になるかも。でも信頼できる相手がいればきっと目的地に辿り着ける。

大人になるにつれ人生は望むものだけを与えてくれるわけではないと知る。マリネット、直接伝えたかったが君がこれを読むのはワシが記憶をなくした時だ。だか恐れることはない。悲しむことも。
始めに書いたように、失うという経験は人生に付きものだが、それだけではない。本当に大事なのは勝つか負けるかではなく、自分自信に起こる変化を受け入れることだ。例え人生が思い通りにいかなくてもそれを受け入れる。人生そのものが贈り物なのだから。』


記憶を失ってしまうことは避けられない…受け入れることだ …でも悲しまないで… いいことも起こるから…とマスターが励ましているようにも感じます。

アドリアンのことも全て忘れてしまうマリネットにとって、目の前に現れるであろう彼は、新しく始まる冒険の道で初めて出会う男の子。そう考えると『きっとお互いの心を委ね、信頼できる相手が見つかるはず…』も自然な流れで読めてきます。記憶を失くすマリネットにとって道はまっすぐではないが、彼がいれば迷子になっても目指したい場所に辿り着けるよ。

いかがでしょうか?何となく読めるのではないかなと思います。なので、マリネットが記憶を失うころ…この手紙の一部が引用されるかも知れない…などと思ったりしています。


最後に

エミリーのことについて…クールに感じるかも知れませんが、書くのが2度目なので重複し過ぎないよう言葉を省いています。過去記事『エミリー』の方では、色々とフォローなども書いておりますので、時間のある方は読んでみて頂けたら嬉しいです。

エミリーの件は受け入れられない方が必ずいる内容なので、前は予防線を張って出しましたが…大事な話でもあるので、今回は張らないで出します。

解釈3がどうなのか…わかるのは最終章ですね。。。気長に待ちたいと思います。



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